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【考察】
超音波画像は、一般臨床に携わる医師にとって最も、手にすることの多い画像の1つであり、また一般病院だけでなく多くの僻地の診療所でも使用されている。しかしながら、その画像の判読についてのトレーニングは、多くは各専門領域において個々の臓器ごとに行なわれていることが多く、循環器を行うものは腹部が、腹部を行うものは循環器領域のトレーニングがそれぞれ不十分であることが多い。一般的には、個々が機会を見つけてトレーニングすることになるわけであるが、実際には各領域について広く勉強することは容易とは言いにくい。そこで、その機会を増やすこと、実際の診療に困った例について相談できる窓口をつくること、症例をみるチャンスをつくる意味で画像転送を用いて診療支援ができるかどうか、また実際のやり方について検討を行った。

 

撮影・記録の方法:
超音波の記録にはいくつかの方法が用いられ、インスタントフィルム、ビデオプリンター、マルチイメージャ、デジタルファイリングシステムなどがよく知られている。その中で、最も多く用いられるのは、いわゆるハードコピーとも呼ばれているビデオプリンターによるものである。この記録法は画質はやや劣るが、単価が安く他のインスタントフィルム、マルチイメージャ、などに比べ経済性を有し多くの一般病院・診療所で用いられている。しかし、このままでは送信に必要なデジタル信号として用いることはできないために、転送を行うために他の記録法と同様、スキャナー等で画像を取り込む必要がある。同じビデオプリンターでも、最近高画質で記録可能なのはカラー画像の記録のために用いられるもので、1枚あたり前者の5から10倍程度の費用がかかるが、カラー画像はこれまで用いられているインスタントフイルムより良質であり、モノクロ画像も前者より良質である。一方、最近使われはじめてきたデジタルファイリングシステムは、超音波モニターに表示される画像をそのままデジタル信号として記録できるため、通信にはもっとも適した方法と考えられる。
最近、アメリカを中心として提唱されている画像ファイルフォーマットの一つのDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)が、放射線科を中心として注目をあびている。これは、画像以外の他の属性(名前、性別、ID、年齢など)を同時に記録するように定められたプロトコールにより行なわれるものであるが、アメリカの放射線科が中心であり、今後通信の基準ともなる可能性を有し注目せねばならない。既に、日本のメーカーの中にはあらかじめこのプロトコールに準じて送信可能な装置(AlokaTMSSD−1700)を作製、市販しているものもある。
なお、動画の保存については今回検討を行っていないが、一般的にはビデオ記録されるために良質のデジタル信号としにくく、またビデオボードを用いてデジタル信号にして圧縮してもファイルが大きくなるために、いまのところ転送には適していない。

 

ファイル形式:
画像ファイルとして主に用いられているものは、MacintoshTMで用いられているPICT、TIFFなどがあり、一方DOS formatではBMP(Bit Map Picture)、TIFF

 

 

 

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